クリエイティブコンサルティング 企業ブランドを体現したコーポレートサイトの構築

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クリエイティブコンサルティング 企業ブランドを体現したコーポレートサイトの構築

目次

企業ブランディングをデジタル上で実現する背景

「パーパス」と呼ばれる存在意義の定義や、ブランドストーリーが求められる昨今、企業ブランディングの一翼を担うコーポレートサイトの在り方そのものを検討する企業が増えてきています。
コーポレートサイト(企業情報サイト)をはじめ、オウンドメディアを中心とした現在のデジタルプラットフォームは、企業とステークホルダーを繋ぐ相互コミュニケーション/ブランド体験の場となっており、今ある企業の提供価値や企業コミュニケーションの在り方を、どのようにWebサイトで表現するか、課題として感じている企業からご相談いただくケースが多いです。

私はアートディレクターとして、日々様々な企業のコーポレートサイトの制作のお手伝いをしています。企業方針や社員の規律、CI(コーポレートアイデンティティ)をガイドライン化している企業が多くみられる一方で、Webデザインとして企業ブランドの浸透を実践出来ているケースは、パーパスブランディングが広く認知されるようになった昨今においても、その数は決して多くないように見受けられます。

サイトリニューアルから5年程度経過し、コーポレートサイトの役割の変化を課題と感じている企業は多く、例えばブランドアイデンティティの視覚化や、新たなパーパスを体現したデザイン、営業導線としての役割を付随したい、などのご相談がよくあります。
戦略・情報設計やデザインにおいて、中心となるターゲットを含めたステークホルダーを考慮し、企業のあるべき姿、理想的なコミュニケーションプラットフォームを構築することは、企業ブランディングを再構築する上で絶好のタイミングとなるのです。

企業ブランドをデザインに落とし込んでいくためのプロセス

クリエイティブアプローチとして、プロジェクトの初期段階において主にクライアントの各部署などにヒアリングやアンケート調査などを行います。
次に現状分析のため、顧客が感じている企業に対する印象をヒアリングし、さらにプロジェクトメンバーや関連部署のメンバーで実施するデザインワークショップを通して、企業の方向性(あるべき姿)を抽出するなど、多角的な視点からアウトプットへの検討手法を選択していきます。これにより、規模の大小を問わず要件に応じたブランドマネジメントが可能となり、また将来的なブランド認識の受容性をも検討することができるのです。

1.多角的分析

自社ブランドに対するステークホルダーの認識や評価を整理する現状分析から始まり、ヒアリングやワークショップなどを通して、プロジェクトオーナーをはじめ関係各部署とプロジェクトメンバーで、サイトを来訪するステークホルダーとのコミュニケーションや企業のMVV(ミッション/ビジョン/バリュー)・特徴・中長期計画などを踏まえた目指すべき姿(あるべき理想)を検討していきます。
企業の持つアウトスタンディングと価値を、視覚表現や動作体験としてサイト全体(※)を通して描くことで、企業ブランドを体現したサイトデザインの構築を目指していきます。また提案時に策定したコンセプトやトーン&マナーを元にフィット&ギャップによる判断を実施し、よりクライアントのニーズやブランド概念に即した内容にブラッシュアップしていきます。

サイトにおけるデザイン規定。主に後述するワークステップを用いて策定されたコンセプトやムードボード(写真表現)、Call to Actionを始めとする操作挙動やマイクロインタラクションなどの動作表現。

2.ブランド受容性の検討

進め方のコツは「個々人の思い」と「チーム(仲間)の思い」を、両軸から捉えることにあります。特に「個々人の思い」を、深く掘り下げることが重要で、私たち外部がファシリテーションとなり、支援していきます。
いきなり集中討議やワークショップで合議に入るのは避けるべきです。なぜなら表層的な議論になり、意見の対立や摩擦を回避した"なんとなくの合意"に陥る可能性が高いからです。
コーポレートアイデンティティ(CI)は、サイト体験として、また企業としての提供価値の明確化を目指すなど、規定されたCIの理解を前提とし、情緒的価値と機能的価値を複合した企業サイトとしてのデザイン構築が求められます。
ワークショップを実施すると必ずと言って良いほど、仲間の意外な発想を見て心が揺さぶられる事象が起こります。常日頃、同じ思いを共有しているはずのメンバー同士ですが、自分との共通点や相違点、新たな発見、逆に異を感じる思想など、たくさんの刺激が生まれます。
そして、メンバー相互の心の中に化学変化が起こり、この化学変化が表層的な企業方針だけでは見えてこなかった「新しい思い」を創出していきます。

3.コンセプトアウトプット

ヒアリングやアンケート、ワークショップから抽出したコーポレートサイトのあるべき姿をもとに、デザインキーワードを言語化、企業像としての人格を把握、そこからコンセプトを策定し、サイトのデザインルール、トーン&マナーの定義、ムードボード(写真表現)など、企業ブランドを形成する要素として構築し、最終的にデザインガイドラインとしてまとめていきます。
コアメンバーの集合知として、プロジェクト関係者全員で作成したブランドアウトプットは、強いよりどころとなり、個人の趣向や思いつきによる判断を減らし、イメージの一貫性を保つことができます。これらの方針はリリース後も、運用更新時のデザインやサイト拡張時の新規コンテンツ作成の指標として、企業の独自性を貫いたルールづくりを行うことができます。

継続的なブランドコミュニケーション

ブランドイメージを保持するには、長い年月を掛けて人々の心に印象を残すコミュニケーションができるかどうかが鍵になります。企業サイトにおいても、ステークホルダーとの対話を繰り返しながら、コンテンツのブラッシュアップや定期的なビジュアルのリフレッシュ、近年では企業の内側の情報を外部に向けて発信するオウンドメディアの構築などの事例も見られます。
リニューアルからしばらく時間が経っているサイトにおいて「ステークホルダーからの信頼を獲得できるブランド体験を提供できているか」「デザイン診断/ブランド分析を実施し、現在のWebブランディングの取り組み状況やその成果、適切にブランド体験を提供できているか」を判断の基準としてみることをトライベックでは推奨しています。

この記事の執筆者

吉野 智弘

クリエイティブUX事業部

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