Adobeの画像生成AIツールの業務活用

  • クリエイティブ
  • オピニオン
Adobeの画像生成AIツールの業務活用

はじめに

以前からAdobeは「Adobe Sensei(日本語の「先生」が由来)」と呼ばれる独自のAI機能を展開していましたが、2023年3月の「Adobe Firefly」の発表以降、積極的に生成AI技術をPhotoshopやIllustratorなどのツールに落とし込んでいます。今回は、既存のAdobeツールに追加された機能で、業務に活用できそうなものをいくつかご紹介します。

Illustratorと画像生成AI

テキストからベクター生成

「テキストからベクター生成」とは、簡単なプロンプト(テキストによる指示)を入力することで、ベクターデータのイラストをAIが生成する機能。Adobe FireflyAIを搭載しており、「2024 Ver.28.0」以降のバージョンで使用できます。20243月時点ではまだベータ版ですが、既に商用利用することも可能です。

1. 簡単な図形を作成 → 2. 生成の種類を選択 → 3 プロンプトを入力して生成という3つのステップで、簡単に生成が可能です。
今回は、「秋の森の風景」「走る熊」というプロンプトで熊の要素を生成。背景のベクター画像と同じ配色・トーンで違和感なく生成することができました。生成の種類は以下の4種類で、1種類の中でバリエーションも選べるため、この中である程度イメージに近いものを生成することができそうです。
・被写体(イラスト単体)
・シーン(背景込みのイラスト)
・アイコン(アイコン風のイラスト)
・パターン(総柄)

Photoshopと画像生成AI

生成塗りつぶし

「生成塗りつぶし」とは、選択範囲内にプロンプトを使用して新しいオブジェクトを生成する機能です。
1. イメージを追加したい場所を選択ツールで囲み → 2. 生成したい内容をプロンプトとして入力することで、簡単に生成が可能です。
今回は、中央の空の部分を選択し「遠くの空を飛ぶ鳥の群れ」というプロンプトで、鳥の群れを追加要素として生成。拡大すると細部の荒さが気になりますが、引きで見ると気にならない程度では生成できました。
Illustrator同様にPhotoshopでもいくつかバリエーションを選ぶことが可能です。

生成拡張

「生成拡張」とは、Adobe Fireflyの機能を搭載した、画像をシームレスに拡張する機能で、Photoshopの切り抜きツールなどでカンバスを広げた際にできる余白を自然に補完することができます。
1. ツールパネルから[切り抜きツール]を選択→ 2. カンバスサイズを広げてコンテキストタスクバーの[生成]をクリックすることで、簡単に生成が可能です。
プロンプトを入力しなくても自然に画像の拡張が可能で、これまで画像の合成やレタッチが必要だった作業がボタンひとつで再現可能になりました。

スーパー解像度

「スーパー解像度」とは、元の画質を保持しながら、画像の解像度を縦横それぞれ2倍、総面積4倍まで拡大することができる機能。スーパー解像度はRAWファイルの他に、JPEGTIFF画像にも適用することが可能です。
※Photoshopの場合、Adobe Bridge経由でCamera Rawを開いて「スーパー解像度」を適用します。

Lightroomと画像生成AI

ノイズ除去

暗所や高いISO設定で撮影する場合、写真にノイズが発生しやすくなります。ノイズは、写真が粗く見える小さな点や粒子として現れ、写真の明瞭度と色の正確さを損ないます。
ノイズを除去する機能は以前から存在していました。しかしシャープネスなどと合わせて多くの項目を手動で細かく調節するのは難しく、時間もかかり、また限度がありました。
Lightroom AI機能「ノイズ除去」を使うことで、画像のノイズを自動的に検出および除去することが可能になりました。

まとめ

AIによる画像生成は、技術力が必要だったり、これまで多くの時間を要した画像編集の作業を効率化したり、クリエイティブな表現を広げるのに役立つ新しい技術です。
一方で、AIが生成したコンテンツの著作権や、ディープフェイク画像などが社会問題にもなっています。
内閣府は2023年5月30日に「AIと著作権の関係等について」という文書を公開し、日本でもAIと著作権に関する法的な整備が始まってきました。クリエイターやデザイナーは最新のAI技術をキャッチアップしつつ、著作権にも配慮しながらAIと向き合うことが必要になるでしょう。

この記事の執筆者

N.F

クリエイティブUX事業部

この記事に関するご相談やご質問など、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

タグ一覧