GA4探索レポートでは限界!BigQuery活用で分析を「深化」する方法

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GA4探索レポートでは限界!BigQuery活用で分析を「深化」する方法

目次

はじめに

従来のGoogleアナリティクス(Universal Analytics)のサポートも終了し、徐々にGoogle アナリティクス4プロパティ(以下、GA4)のアクセスログ解析・データ活用に本腰を入れている企業が増えてきています。

実際に、BtoB/BtoCや大企業/中小企業を問わず、様々なお客様からアクセスログ解析に関するご相談もいただいており、最近はコスト削減や自社ノウハウの蓄積を図るため、アクセスログ解析・データ活用の「内製化」が進んでいる状況も見られます。

特に、GA4を用いたアクセスログ解析の内製化に向けてキーワードに挙げられるのは、GA4の主要機能である「探索レポート」です。今回は、様々なお客様の事例から得た知見をヒントに、GA4の「探索レポート」の問題点を整理しつつ、サイトの理解を深める分析基盤の構築イメージと、具体的な分析アプローチをご紹介します。

GA4探索レポートの問題点

【問題点1】データの長期保存や加工・整形が困難

まず、GA4の探索レポートで取り扱う「データ」に焦点を当てると、以下のような問題点が浮かび上がります。

  • GA4探索レポートのデータ保持期間は最大「14ヶ月」 ※GA4有償版は「50ヶ月」まで延長可
  • 細かなフィルタリング設定を行うのが困難
  • 会員マスタなど他のデータとの繋ぎ込みが難しい(機能はあるが)

特に、データ保持期間については、昨年比でアクセスログの推移を評価する場合、「14ヶ月」しか遡れないのは痛手となりがちです。オウンドメディアの中でも、コンテンツの変化が少ないコーポレートサイト等の担当者におかれては、昨年比やそれ以前のデータと比較できないことで、困っているお客様も少なくないと思います。

また、探索レポートは1つのグラフごとにタブが分かれ、フィルタリングの設定も個別に分かれています。GA4では目的に合致した分析を行うのに際して、ノイズになる情報が紛れることも少なくありません。これらを取り除くため、ホストやページロケーションなど、フィルタリングの設定を複数設定することもあるかと思います。

しかし、後日にフィルタリングの修正が必要になった場合、同じような修正をタブごと・ページごとに展開する必要があり、フィルタリングをはじめとした様々なデータの加工・整形に手間が多くなります。

このように、その時々でデータを目的に沿って探索を進めていく機能として探索レポートは機能するものの、長期的・継続的なデータ分析の業務を行う中では、機能として物足りない点がいくつか見られます。

【問題点2】レポートがタブ・ページごとに分かれて煩雑化しがち

次に、GA4の探索レポートでデータを表示する「手法(グラフ化)」に焦点を当てると、以下のような問題点が浮かび上がります。

  • 「作成した探索レポートが多すぎて、どこにどのグラフがあるか分からなくなる」
  • 「探索レポートのグラフがタブ毎に分かれ、どこにどのグラフがあるか分からなくなる」
  • 「ディメンションの列を並べると表示順変更が期待通りにならない」
  • 「上司や別部門の関係者にアクセス共有しても、探索レポートのページにたどり着けない」
  • 「KPIや閾値があるもののグラフ上に表現できず、数字だけを見ても意思決定がしづらい」

前述の通り、探索レポートは1つのグラフごとにタブが分かれ、タブの数にも上限があるため、作成したレポートのページ・タブが乱立しがちです。これでは、「○○の目的でつくったグラフはどこのページ・タブで作ったかな?」と、探し出すのも一苦労です。

一方で、現場のマーケティング担当者に限らず、別部門や経営層の方々など、普段はGA4に触れないものの、サイトのアクセスログを気にしている方々が企業の中にはいらっしゃるかと思います。これらの方々にGA4の閲覧権限を付与しても、GA4のトップページから下層にある探索レポートにたどり着けなかったり、探索レポートの大量のページ・タブの中からどこに目的のグラフがあるのか見つけ出せなかったりと、なかなか活用に至らない状況も起こりやすいかと思います。

結局、現場のご担当者が探索レポートのデータを元に、CSVを出力してPowerPoint・Excelでレポートをつくる…という手間が発生し、マーケティングのご担当者の業務負荷を高める要因になってしまうこともあるでしょう。

GA4からBigQuery連携で分析基盤づくりを

GA4はまだ発展途上で、特にGA4の探索レポートはこれから改善・拡張される機能もあると思われる一方で、ここまでに挙げた様々な諸問題もあるため、悩んでいるお客様も多いのではないでしょうか。

1つの解決策として、GA4からBigQuery連携をすることで分析基盤を構築するアプローチがあります。GA4経由で蓄積されるデータ量に伴うコストに配慮しつつも、BigQuery連携を行うことで、データの保存期間の限界が取り払われ、さらにはサイトの性質などに併せてデータの加工・整形も可能になります。

データ分析基盤の構築イメージ

より具体的なデータ分析基盤の構築イメージを以下のように表してみました。

まず、GA4からBigQueryへの連携はもちろん、会員サイトであれば会員IDに紐づく会員属性の情報や、対象サイトにおけるURL別のカテゴリ情報や掲載日などを含むコンテンツ情報、その他、アクセスログと結合したいデータをBigQueryに蓄積していきます。

そして、BigQueryに蓄積されたデータは、保存量や参照頻度に応じて費用は発生するものの、データの保存期間に制限が無くなるため、アクセスログの昨年比やそれ以前のデータも確認できるようになります。さらには、Looker StudioというGoogleのBIダッシュボードツールでデータを可視化しやすいように、SQLを用いることでデータを加工・整形していくといった流れになります。

もう一歩、BigQueryとLooker Studioについて解説します。

データを蓄積して加工・整形する「BigQuery」

BigQueryはGoogleのクラウドサービスの総称である、Google Cloudが提供するデータウェアハウスです。アクセスログに限らず、データを蓄積して加工・整形する機能を持ち、様々なデータをSQLと呼ばれるデータベース言語を用いて、データを組み合わせることが可能です。

従来、SQLはエンジニア職の方々がWebサービス・Webアプリケーションの実装に際して必要な知識でしたが、近年はより深くデータを分析していきたいというマーケターを中心に、幅広い職種においてSQLを学習し、活用するシーンが増えてきていると思います。

実際に、様々なお客様のデータ分析基盤の構築支援を行っている事例を元に、マーケターがアクセスログを活用し、より深く分析する例を解説していきましょう。

「深化」―データを組み合わせて分析を深掘り

具体的には以下のようにアクセスログと様々なデータを組み合わせることで、サイトの状況はもちろん、サイト来訪者の属性や行動を基にした傾向を深掘りして分析することが可能になります。

●【アクセスログ】×【サイトコンテンツマスタ】:
サイトによっては、URLだけでは第2階層以降のカテゴリを判別するのが難しい場合があります。また、ブログなどの記事が多数掲載されているページでは、URLからでは記事のタグや公開日、作成者などの情報を特定することが困難なこともあります。そういった場合に、URLを基にしたコンテンツ情報とアクセスログを連携させることで、より詳細な情報を取得することが可能になります。

●【アクセスログ】×【会員マスタ】:
会員サイトやECサイトにおいては、アクセスログだけではユーザーの詳細な属性や行動を把握するのが難しいことがあります。例えば、どの会員がどのページを訪れたか、購入履歴や会員ステータスといった情報を紐づけることで、ユーザーの行動パターンや購買意欲をより深く分析することが可能になります。

●【アクセスログ】×【メール送付マスタ】:
メールマーケティングを活用している場合、メール送付マスタとアクセスログを組み合わせることで、メールの効果測定や最適化が可能になります。例えば、特定のメールを受信したユーザーが、その後どのページを訪問したのか、どのリンクをクリックしたのかを追跡することで、メールがどの程度の影響を与えているかを可視化できます。メールの効果計測は開封率やクリック率などに偏りがちですが、実際のサイト内の回遊やコンバージョンに至るプロセスも把握ができるため、より効果的なマーケティング施策を展開するためのデータを得ることができます。

データを可視化する「Looker Studio」

BigQueryを使ってデータを深く分析する方法をご紹介しましたが、最終的に加工・整形したデータをメンバー間で共有する際には、視覚的にわかりやすくビジュアライズすることが重要です。Googleが提供する「Looker Studio」は、BigQueryとの高い親和性を持ち、グラフやダッシュボードを使ってデータを可視化できるBIダッシュボードです。PowerPointやExcelのような操作感で、簡単にBigQueryで加工・整形されたデータを可視化することができます。

今回はLooker Studioの細かな特徴や機能の解説は省略しますが、BIダッシュボードを活用することで、データに基づいた意思決定を迅速に行うことができ、ビジネスにおける対応力を向上させることが期待されます。

おわりに:GA4とその先のデータ分析・利活用にお悩みのお客様へ

トライベックではGA4のアクセスログ解析をはじめ、今回ご紹介したBigQueryやLooker Studioなど、様々なデータ分析ツールを活用したご支援が可能です。

  • GA4の分析設計から計測設定、継続的なレポーティングに至るワンストップな支援
  • 四半期や半期ごとにGA4を用いたレポーティング支援
  • GA4+BigQuery+Looker Studio等のデータ分析基盤の構築支援
  • GA4/BigQuery(及びSQL)/Looker Studioのハンズオン・勉強会やアドバイザリーの支援
  • GA4と弊社マーケティングプラットフォーム「HIRAMEKI XD」を組み合わせたプランニング支援
  • その他、色々

是非、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の執筆者

福聚 康旭

DXプラットフォーム事業部 プランニングユニット ユニットリーダー

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