デジタル・AI時代のロゴデザインの考え方

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デジタル・AI時代のロゴデザインの考え方

目次

時代と共に変化するロゴデザインの考え方

以前までは紙媒体を中心に考えていたロゴデザインも、近年ではスクリーンメディアが中心になっています。屋外広告から名刺サイズまで、定型のサイズに対応できるようにするのがロゴデザインの基本でしたが、様々なデバイスやデジタルチャネルが存在する現在では、その考え方は通用しなくなっています。
また、静止画で考えていたロゴもアニメーション演出含め、動的に考える必要が出てきました。
本記事では、デジタル・AI時代に適したロゴデザインの要素と考え方についてご紹介します。

デジタル時代のロゴデザイン

デジタルブランディングにおいて、ロゴはブランドの顔です。多くのチャネルがあり、接触時間が短いオンライン上において、ロゴはブランドの最初のタッチポイントとなり得ます。
また、優れたロゴは、ユーザーからのロイヤリティ獲得に加え、SNSでの拡散や購買においても効果を発揮し、競合との差別化要因としても重要になります。

Simple - シンプル

日産自動車は、2020年のリブランディングで、ロゴの大幅な変更を行いました。
以前のデザインは、グラデーションやエンボスなどの立体エフェクトを活用した車のエンブレムを彷彿させるものでしたが、立体的な3次元の表現から2次元のフラットなデザインへ変更されました。
新しいロゴは「薄く、軽く、しなやか」をキーワードに、シンプルかつフラットでデジタルとの親和性の高いデザインになっています。

トライベックも、2020年のグループ3社統合時に、以前までのグラデーションを活用したデザインからシンプルな表現へロゴを刷新しました。

Scalability - 拡張性

スマートフォンやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスの普及により、小さな画面で瞬時に認識され、記憶に残るロゴは、現代のデジタルブランディングにおいて重要な要素となりました。
異なるデバイスサイズでも一貫した印象を与えるためには、ファビコンからデスクトップサイズまで、同じ印象を持続させる工夫が必要です。
また、アプリのアイコンやSNSのプロフィール画像など、デジタル環境では正方形や円形の形状が主流となっています。ロゴマークも正方形と円形を意識した設計が求められます。

Dynamic - 動的

デジタル環境の変化に伴い、これまで静的(Static)に考えられていたロゴも、動的(Dynamic)に考えられるように変化しています。ロゴを様々なデバイスに適応させるのと同時に、動的な要素を取り入れることで、より印象的なブランディングが可能になります。
近年では、メディアや目的などに応じて有機体のように変化する「ダイナミックアイデンティティ」と呼ばれる手法が注目されており、2025年の大阪・関西万博のデザインシステムでもこの手法が採用されました。

トライベックのWebサイトのメインビジュアルにおいても、社名の由来のひとつである“トライアングル”をモチーフとしたアニメーションで、このダイナミックアイデンティティの考え方を一部取り入れています。

AI時代のロゴデザイン:AIと共創するロゴ

ロゴデザインにおいても、近年はAIの存在を無視することはできません。
AIのデータ生成と分析力とデザイナーの思考を組み合わせは、より効果的なクリエイティブを生み出すための鍵となるでしょう。

AIのデータ生成・分析力

・多量のイメージ生成(ラフ案や配色案)
・トレンド分析(近年流行しているスタイルの抽出)
・デザインのバリエーション展開(サイズ、比率、配色の展開)
・簡易な構成やレイアウト案の生成

デザイナーの思考

・ブランド戦略に基づいたコンセプト設計
・文脈・文化的背景を踏まえた意味づけ
・美的判断やセンス(人ならではのバランス感や直感的判断)
・クライアントとの対話やストーリーテリング

さいごに

情報過多のデジタル時代では、シンプルで瞬時に記憶に残るロゴデザインが有効です。
AIツールの発達により、ロゴデザインのスケッチやバリエーション生成は簡単にできるようになりました。
しかし、それは簡易なロゴデザインであれば誰でも作れるようになるのと、その氾濫による「ロゴデザインの無個性化」の危険性をはらんでいます。
デジタル・AI時代の今、デザイナーとしての判断やストーリーテリングが、デジタルブランディングにおいてますます重要になっています。

この記事の執筆者

N.F

クリエイティブUX事業部

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