「ハッシュ(#)」と「シャープ(♯)」は別物です
TwitterやInstagramなどのSNSで、特定のキーワードに関連する投稿をまとめて検索、閲覧できるようにするハッシュタグ。最近では一般ユーザーにも浸透し、広く活用されるようになりました。
ところで、ハッシュタグを知らない人に説明する必要が出てきたとします。そんな時、あなたならどのように説明しますか? ハッシュタグ=キーワードの前に「シャープ」を付けたもの──なんて説明をしてしまう方、意外と多いのではないでしょうか。でも残念ながらこれは大間違い。正しくは『キーワードの前に「ハッシュ」を付けたもの』なんです。
「ハッシュ記号(#)」とは
まず、そもそも「ハッシュ記号(#)」とは何なのかを調べてみましょう。
一般的に、番号を記す際に用いられる記号である。番号記号と呼ばれることが多い。
もともとは番号の前に置かれ、それに続く数字が番号であることを示すものだったのですね。一般的なキーボードでは「3」のキーに割り当てられています。記号の形は、横線が水平で、縦線が右に少し傾いています。
ちなみに日本語では「井桁(いげた)」といいます。「いげた」と入力して変換すると、ハッシュ記号が候補に出てくるはずです。
「シャープ記号(♯)」とは
続いて「シャープ記号(♯)」についても同様に調べてみます。
西洋音楽の五線記譜法による楽譜上で半音あげることを意味する変化記号「♯」を指す。
これはもう、完全に音楽のためだけの記号ですね。記号の形は、縦線が垂直で、横線が少し右上がりです。
ちなみに日本語では、ちょっと耳慣れないですが「嬰記号(えいきごう)」といいます。
事実誤認の原因として考えられること
実際、ハッシュとシャープを混同してしまっている人はたくさんいるような気がします。しかも、そもそも別物だという認識すらないケースがほとんどです。このような事実誤認が生じる背景には、なにか原因があるのではないでしょうか。
プッシュ式電話の「#」と「*」
留守番電話やサポートデスクなどの音声案内で「~シャープを押してください」というメッセージを聞いたことがあると思います。そんな時はプッシュ式電話の右下にある「#」キーを当たり前のように押すと思いますが、そうです。「#」キーは「シャープ」じゃなくて「ハッシュ」でしたよね。
日本ではこの「シャープ」という間違った呼び方がすっかり定着してしまい、さまざまなシーンで便宜的に「シャープ」と呼ばれてしまっているのです。なお、英語圏では「hash key」のほかに「pound key」や「number key」という呼び方が一般的だそうです。
プッシュ式電話関連でさらに深掘りしておくと、「*」キーも「コメ」と呼ぶことが多いですが、本当は「アスタリスク」が正解です。英語圏では「star key」と呼ばれることが多いようです。
ちなみに、「*2*2(コメニコメニ)」という響きが「懐かしい!」と感じる世代は、いまだいたい40歳前後なのではないでしょうか? なんのことだかさっぱり意味がわからない方は、アラフォー世代の方に聞いてみてくださいね。
- 実際にハッシュタグに付ける「ハッシュ記号」は半角ですが、本記事では全角表現しかできない「シャープ記号」とのバランスを取るためにすべて全角で表現しています。
この記事を書いた人
水沢 剛
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広報ブランド室 室長