こんにちは!Web運用ディレクターのY氏です。
2ヶ月間の育休を取得し、6月末に復職しました。男性の育休取得の事例は過去にもありますが、「出生時育児休業(通称:産後パパ育休)」の取得としては初の事例ということで、記憶が新しいうちに記録を残しておこうと思います。
出生時育児休業(通称:産後パパ育休)とは
2022年4月より、育児・介護休業法が段階的に改正されていますが、2022年10月から「出生時育児休業(通称:産後パパ育休)」が新設されました。子供の出生後8週間以内に4週間まで取得でき、2回まで分割して取得できます。従来の育休制度とは異なるものなので、2つの制度を併用すれば、子供が1歳になるまでに最大で4回の育休を取得することが可能になりました。
育休の期間と内訳
私は奥さんの産褥期(分娩後に母体が妊娠前の状態に戻るまでの6週間)や、育児が軌道に乗るまでの育児・家事サポートが主目的だったので、「2ヶ月ほど育休を取得したい」という形で上長や人事に相談しました。最初の1ヶ月は出生時育児休業(通称:産後パパ育休)を使い、残りの1ヶ月を従来の育休制度でまかなう予定でしたが、育児休業基本給付金は休業開始前の賃金の67%ほどなので、2ヶ月間の収入が激減してしまう上に、支給は2ヶ月先になるので、実質2ヶ月間は無給の状態で出産・育児の時期を迎える必要があり、お金のやりくりがとても心配でした。
私の場合は人事の方にアドバイスをいただいた結果、後半の1ヶ月を有給休暇にできたので、収入の減少が前半1ヶ月分のみになったのは、とてもありがたかったです。従来の育休制度も使わずに残せているので、今後奥さんの職場復帰の状況などを見て、再度サポートに回る余力を残せていることも大きいです。
育休取得前に一番苦労したこと
「自分の業務の穴埋めをどうするか」という点です。私はWeb運用ディレクターなので、日々継続して対応する案件を担当していますが、2ヶ月間も体制に穴を空けてしまうと、その分の売上(予算)が減ってしまいます。自社のみならず取引先にも影響が出てしまうため、すべての業務に代理要員を立てつつ、特定の人に負荷が偏らないようタスクを分配し、個別に引き継ぎをするのが大変でした。
また、業務によっては権限の関係で自分と同じか上位者に代行を依頼する必要があったので、ただでさえ忙しい方に代行をお願いするのは正直心苦しかったです。「育休にいつから入るのか」という問いに対しても、出生日がいつになるかが事前に分からなかったので明確に答えることができず、特に月末月初に発生するタスクを引き継ぐタイミングが難しかったです。
結果的には余裕をもって早めに引き継いでいたので、業務や売上に大きな穴をあけることなく、無事に2ヶ月間をつなぐことができました。予定よりも長く業務を代行していただいた方もいらっしゃいますが、皆さん嫌な顔をせずに快く引き受けて下さったので、本当にありがたかったです。
出産立ち会い後の面会謝絶
今回、出産に立ち会うことができましたが、本当に壮絶でした。陣痛というものが定期的に来て、痛みが出るまでの間隔がどんどん短くなっていき、痛み自体もだんだん強くなって継続する時間も長くなる、ということは事前に分かっていたのですが、一緒にその時間を共有したことで本当に出産が命がけであることを痛感しました。
最初の陣痛から出産までに13時間ほどかかりましたが、奥さんの横で陣痛のたびに背中をさすったり、痛みが増してからはテニスボールを都度フルパワーで押し込んだり、分娩室に行ってからは汗をふき、うちわで扇ぎ、いきむときに背中を押してあげるなど、男性の立場でできる限りのサポートをしましたが、本当に言葉では言い表せないほど辛そうでした。
子供は生まれた瞬間にすぐに泣くものと思っていたのですが、泣く前に両目をぱっと見開いて分娩室内を見渡したときの我が子の顔を、今でもはっきり覚えています。奥さんの胸の上にうつ伏せで乗せられた赤ちゃんと3人で近くに集まったときに、家族が増えたことを強く実感しました。
そうこうしているうちに、コロナの余波で配偶者すらも退院までは面会できないということで、奥さんにねぎらいの言葉を十分にかけられないうちに私だけ帰らされてしまい、それから5日間の入院生活中は奥さんと子供に会うことができませんでした。その間、奥さんからは子供の写真を送ってもらい、私は子育て用に家を模様替えしつつビデオレターを送ったりしながら過ごしました。
睡眠不足での育児・家事サポート
奥さんが入院中に育児の基本を一通り習っていましたが、その情報を元に退院後はすべて自分たちでやらなければいけないので、最初のうちは慣れないことの連続で、本当に大変でした。両家の親のサポートを受けながら、3時間ごとの授乳やミルク、オムツ替え、沐浴などのサイクルを作っていき、慣れてからも3時間おきに必ず何かをする必要があるので、夜も満足に眠れず、睡眠不足の頭で意識が朦朧としながら対応するのは本当に大変でした。最初のうちは赤ちゃんも「泣く」というリアクションしかしてくれないので、何かやってあげても泣かれるだけだったのが辛かったです。「これを育児の先輩たちはみんなやっているのか!」と思い、世の中のお母さんやお父さんは本当に偉大だと思い直しました。
そのうち、泣く以外にも、笑ったり、声で教えてくれたりするようになると、だんだん子供とのコミュニケーションが取れるようになってきた実感が湧いてきて、少し報われた気持ちになりました。家事についても、元々決めていた分担を超えて、炊事・洗濯・掃除など一通りのことを経験できたので、これからいつでも何でも奥さんをサポートできる下地が作れたのは大きかったです。
2ヶ月で十分?
子育てだけを考えれば、正直何ヶ月あっても足りないのですが、それでも子供と最低限コミュニケーションが取れるようになって、奥さんの身体もかなり回復した状態まで持って行くことができたので、2ヶ月という期間は本当にありがたかったです。お七夜やお宮参りなど初期のイベントを平日に開催できたのも、仕事の合間に休日だけでこなすよりは遥かに楽だったのではないかと思います。
私の場合は2ヶ月目の最初のワクチン接種にも立ち会えましたが、左腕に2本、右腕に2本の注射を打った上に、飲み薬もあり、1ヶ月後にもう一度同じことをやると聞いて、「一人前の免疫をつけるにはこれほどのフォローが必要なのか」と、本当に驚きました。子供が大人になるまでに受けるサポートを色んな形で見ることができたので、この2ヶ月間で学んだことは本当に多かったと思います。
業務復帰はスムーズ?
いざ2ヶ月ぶりに業務を始めると、すっかり浦島太郎になっていました(笑)まずは2ヶ月分のメールやチャットの履歴を読むのが本当に大変でした。思っていたよりも各業務の状況が大きく変わっていたことや、不在中の5月初旬に会社としてのコロナ対応が緩和されていたことなどを知り、時の流れを感じました。
特に、今回は期初の4月から休む形になってしまったので、社内の動きから色々と遅れを取ってしまっていると感じましたが、焦らずマイペースに巻き返して行くしかないと思っているところです。ブランクによる自身の業務遂行能力低下は特に感じませんでしたが、復帰直後の一週間は一日がすごく長く感じました。
これから育休を取得する男性へ
今回の経験から自信を持って言えることは、初期の育児で前線に立っておくことで、子供への愛着が確実に増します。育休を終えて復帰するときは、子供と関われる時間が減ってしまうのが寂しかったですが、夜や休日などにスポットでお世話をしてあげると笑ってくれたりするので、パパのことをちゃんと覚えているようです。
育児はこの先もずっと続く長丁場で、むしろこれからの方が寝返りをしたり、しゃべったり、動き回ったりするようになり、もっと大変になると言う先輩もたくさんいます。育児もチーム戦で乗り切るべきだと思うので、自分の復帰後にワンオペで育児を担当してくれる奥さんの苦労や子供の成長を分かち合う意味でも、育休を取得して初期の育児を経験しておくことをおすすめしたいです。
また、出生前後は何かとお金がかかる時期なので、お金のやりくりについても事前に計画しておくことをおすすめします。
私の場合は貯蓄用の口座から2ヶ月分の生活費を前借りし、収入が戻ってから貯蓄用の口座に再度補填しました。出産費用や入院・通院の費用のほか、子供用の洋服やミルク、オムツなどの日用品が必要になることは想定範囲内でしたが、予定外に費用がかかってしまったのが水道光熱費です。自分がずっと家にいることで費用が増えるのはもちろんですが、うちの場合は洗濯を大人用・子供用に分けて回していたことや、沐浴用のお湯、ミルクを冷やすときの流水などの影響で、特に水道代が倍以上に増えていました。思った以上にお金がかかると思って間違いないと思います。
この記事が、これから育休を取得する男性や読者の皆さまに少しでも役立ち、トライベックのみならず日本の男性が育休を取得しやすい環境構築を促進する一助になれば幸いです。
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