目次
はじめに
第3回では、前回までの内容を踏まえつつ、Google アナリティクス4プロパティ(以下、GA4)に限らず、その先のデータ活用に目を向け、私たちトライベックが大事にしている顧客体験(CX)を理解するためのGA4の立ち位置と、その先のデータ活用方法についてご案内します。
企業が見るべきデータはアクセスログだけじゃない
顧客体験がデジタルにシフトしている
昨今、コロナ禍においてtoB、toCに関わらず、顧客体験がデジタルにシフトしている状況であることは想像に難くありません。アパレル企業で言えば、これまで店舗で商品を探していた顧客はECサイトの利用にシフトしましたし、toB向けのメーカー企業であれば、ビッグサイト等の展示会を訪ねていた顧客はサービスサイトやオンライン展示会やセミナーで情報収集をするようになりました。
コーポレートサイトやサービスサイト、自社ECサイト、あるいは会員サイトといった、様々なオウンドメディアにおける行動は、アクセスログとしてデータとして蓄積されています。Google Analyticsはアクセスログを蓄積し、活用する手段として広く利用されてきました。
デジタル化された接点が増え、顧客体験のデータ化が進んでいる
視野を少し広げると、顧客と企業のデジタルの接点はオウンドメディアだけではないことに気づきます。リスティングやリターゲティングのインターネット広告に加え、YouTubeやInstagramといったソーシャルメディアなど、様々なメディアを行き来し、顧客と企業のコミュニケーションが行われています。そこでは、インプレッション(表示回数)やリアクションなど、様々なデータが顧客の行動に伴ってデータとして蓄積されています。
更には、オンライン上のメディアに限らず、近年ではAI/IoTや音声・映像技術の発展に伴い、オフラインの顧客体験ですら、データ化されるようになっています。例えば、コールセンターひとつとっても、音声が自動で文字起こしされ、自然言語解析されることによって、感情の分析までも出来るようになりました。
このように、オウンドメディアだけでなく、更にはペイドメディア、ソーシャルメディア、そして、オンラインに限らず、様々なデジタル化された接点が増えたことで、顧客体験を多面的なデータで捉えることができるようになったといえるでしょう。
長いカスタマージャーニーの中で顧客のデータが蓄積されている
顧客の体験は、企業の情報に気づき、興味を持ち、情報を知り、企業の提供する商品・サービスを利用し(その前後に共有なども行ったりしますが)、更には問い合わせやヘルプを利用するに至るまで、長い時間軸の中で捉えることができます。
一昔前までは顧客に「モノを買わせる」ことに重点を置き、購入に至るまでのプロセスを顧客の体験と捉えていた時期もあったかと思います。しかし昨今においては、購入や契約をした後にも顧客のロイヤリティを高めることで離反者の低減を図ったり、口コミの拡大に繋げたり、また一方で、サブスクリプションモデルの商品やサービスの台頭も重なったことで、質の高い顧客と企業のコミュニケーションを継続することが重要視されてきています。
したがって、長いカスタマージャーニーの中で顧客体験を図ることになり、対象となるデータも広く捉えることになりました。
デジタル化された接点の増加とカスタマージャーニーの延伸でデータが膨大に
前述の通り、デジタル化された接点が増えたことと、カスタマージャーニーのスコープが拡がったことによるデータの増加に伴い、顧客体験の理解に用いることができるデータが膨大になりました。
アクセスログはその中で1つの重要なデータではありますが、様々なデジタル化された接点と長いカスタマージャーニーの中で、それぞれ生み出されるデータを1か所に集めて活用することで、顧客体験の理解をさらに深めることができるのではないでしょうか。
企業が顧客体験を理解するうえで見るべきデータは、アクセスログだけではありません。つまり、GA4だけを見ていては、顧客体験を深く理解することは難しいといえます。(だからといって、アクセスログ解析が不要というわけではありません)
GA4のアクセスログとそれ以外のデータを集約
GA4のアクセスログと他のデータを集約する手段となるBigQuery
前置きが長くなりましたが、アクセスログと各種データの紐づけが重要であることをご理解頂いた上で、今回はGA4のアクセスログと様々なデータを結びつける手段となる、Googleが提供するBigQueryをご案内します。Google Analytics(UA/GA3)では実現が難しかったBigQueryとの連携ですが、GA4では簡単な設定を済ませるだけで直ぐに連携を実現することが可能となっています。
GA4からBigQueryにデータを繋げることで実現できること
BigQueryはクラウド上のデータウェアハウスです。様々なシステムのデータを収集し、目的に沿って再構成することに長けている統合データベースとなっており、また、クラウドを活かしたスケーラビリティ(拡張性)により、費用対効果にも優れたプラットフォームとして注目されています。
GA4からBigQueryに繋げることで実現できることは主に以下の通りです。
1. スピーディなデータの集約
前述の通り、アクセスログに対して各種データをBigQueryに集約することでデータを組み合わせて分析することが可能になります。これが、サーバーの構築やサーバーサイドのプログラム開発が不要でブラウザ上の設定と、SQL(データベース言語)によるデータ操作だけでスピーディに行えることが魅力のひとつです。(他のシステムからBigQueryにデータを連携する場合にはプログラム開発が必要な場合があります)
2. 機械学習/AIによる予測
BigQueryにはBigQuery MLという機械学習と予測モデリングをSQLベースで簡単に行うことができる機能があります。これにより、過去の蓄積された購買や各種コンバージョンのアクセスログから未来の予測を立てることなどが可能になります。また、Googleが提供する自然言語処理などの様々なAIのソリューションを活用することも実現できます。
3. BIを用いたデータの可視化
データを集約できたとしても、そのデータを閲覧できる環境を設けて、活用しないと意味がありません。BIツールはデータを線や円のグラフにしたり、指定の条件で順番を変えたりデータを絞ることでデータを可視化し、その後の意思決定に役立てることができるツールです。
BigQueryからTableauやDOMOといった高機能とされるBIツールへのデータ連携も実現可能ですが、Googleが提供するサービスでUIも心地良いBIツールである、Googleデータポータルは導入障壁が低く、データ分析基盤のはじめの一歩を踏み出したい方々にオススメです。
《事例》BIツール「Googleデータポータル」を用いた顧客体験の理解
実際に、弊社で対応した事例として、GA4のデータを用いたBIでデータを可視化した構成を少しだけご紹介します。
弊社ではマーケティングプラットフォーム「HIRAMEKI XD」を提供しており、このプラットフォームではWebフォーム機能やメール・LINEなどのコミュニケーション機能を提供しています。HIRAMEKI XDの各種データもGA4と同様にBigQueryに連携することが可能となっています。
某企業では、HIRAMEKI XDで保持している会員マスタやフォームの回答データ、メールのマスタ・配信データなどと、GA4のアクセスログをBigQueryに集約し、その上で軽快なBIツールであるGoogleデータポータルでデータを参照することで、メールやフォームで反応があった会員のデータと、サイトにおける行動データをBIツール上で可視化できるようにしたことで、スピーディな情報共有・意思決定に役立てることができました。
このようにBigQueryがハブになることで、様々なデータを集約し、それを可視化するデータ分析基盤の構築が実現できます。GA4のアクセスログだけでなく、様々なデータを一か所に集約することで、多面的且つ長期的な時間軸の中で顧客体験を理解するのに役立ち、その後の施策や意思決定に役立てることを可能にします。
GA4とその先のデータ活用にお悩みの方へ
第3回に渡るジャーナルもいよいよ終盤となりますが、如何だったでしょうか。
この度アナウンスがあった、Google Analytics(UA/GA3)のサポート終了は、いつかやってくる未来だと思って「まだまだ先の話だから後回し」と、多くの方が思っていたのではないでしょうか。私たちも想定よりも早くて実は驚いているような状況です。
そのような状況で、お困りの皆様の今後の判断の一助になればと思い、第3回に渡ってご案内させて頂きました。(第1~3回で執筆者が異なるのも、少しでも早くお伝えしたいと思って分担した次第です。笑)
まだまだ、GA4の理解もこれからというところで不安を抱えている方も多いかと思いますが、私どもは「セッション」から「ユーザー」に視点が変わり、BigQueryを介して様々なデータを紡ぎやすくなったGA4について、顧客体験をより一層理解するための良い機会だと捉えています。
トライベックではGA4やアクセスログに関する様々なご相談に対してご支援が可能です。
・GA4の分析設計から計測設定、継続的なレポーティングに至るワンストップな支援
・GA4→BigQuery→Googleデータポータルをはじめの一歩としたデータ分析基盤の構築支援
・GA4と弊社マーケティングプラットフォーム「HIRAMEKI XD」を組み合わせたプランニング支援
・その他、色々
是非、お気軽にお問い合わせください。
この記事に関するご相談やご質問など、お気軽にお問い合わせください。