Webサイトの価値を高めるために取り組むべきWebブランディング5つのポイント(2)
- ブランディング
前回は、企業の信頼・信用、ブランドイメージを維持、向上させるためにデジタル、とりわけオウンドメディアが重要な役割を担っていることをお伝えしました。そして、Webサイトが企業ブランドに貢献できる“価値”として、「Webサイトのブランド価値貢献度」を金額価値として算出する方法を紹介しました。
Webサイトのブランド価値貢献度の算出方法
今回は、具体的に「Webサイトのブランド価値貢献度」を向上させるための5つの取り組みを、事例を交えて見ていきたいと思います。
取り組みその1「認知貢献効果」を高めるために
最初の出会いで期待に応え、ずっと会いたくなる存在としてブランド認知を強化
ブランド価値貢献度を構成する内訳のひとつとして、「認知貢献効果」という指標があります。この指標は、「Webサイトが企業認知向上にもたらす効果」のことですが、この効果についてまとめたランキングを見てみましょう。
1位のヤマト運輸、2位の日本郵便は集荷依頼や再配達の受付など荷物の発送受取に関する閲覧が多く、普段の情報収集としてWebサイトが活用されていることが想定されます。Webサイトが頻繁に活用されることは、すなわちそれだけ企業を想起する頻度が高いといえるため、両社の認知貢献効果は高い結果となっています。
3位のユニクロはクーポンや来店者への施策はアプリで行い、Webサイトではチラシとしての情報掲載とECサイトに特化して棲み分けを行っており、Webサイトの情報は詳細まで見やすい形で掲載されています。トップページでは新商品やおすすめ商品など更新頻度も高く、普段の商品への興味喚起と購入時の情報取得にWebサイトが高い頻度で活用されていると考えられます。
ユーザーの習慣的なアクセスとサイト利用満足度でブランド想起を高める
下のグラフは、「認知貢献効果」ランキング上位企業の普段と購入時における各企業のWebサイトの情報利用割合です。
普段と購入時における各企業のWebサイトの情報利用割合
「認知貢献効果」ランキングの上位3社は普段の情報接触と購入時の両方でWebサイトがよく活用されており、普段と購入時の利用度の差が小さいことがわかります。つまり、ユーザーの習慣的なアクセスを引き出す「コンタクトポイント強化」と「購入時利用満足向上」の両方によって「認知向上効果」の上昇が期待できるといえます。
生活者は普段、商品の購入検討においては常にPCやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを問わず、接触メディアも比較サイトやSNS、ブログ、アプリ、E-Mail、各ポータルサイトなど多種多様なWebメディアから情報収集しています。もはやこのコンタクトポイントは複雑を極めつつあります。多くの企業のWeb担当者はオウンドメディアを起点としたコンタクトポイント設計は行っているものの、ユーザー起点の多岐にわたる利用デバイス、複雑なメディアのコンタクトポイント設計は十分に行えていないのが現状です。
これからは、ユーザーの普段の何気ない生活・暮らしの中に寄り添うコンタクトポイント設計と、購入動機が高まったときに訪れる企業のオウンドメディアにおける利用満足度の高い体験の提供を一気通貫で俯瞰したコミュニケーション設計が求められ、そうすることが「認知貢献効果:Webサイトが企業認知向上にもたらす効果」につながるといえるでしょう。
認知貢献効果向上取り組み事例1 ヤマト運輸
初めて来訪するユーザーや繰り返し訪れるリピーターも含めて最も多くのユーザーがアクセスするトップページでは、最もニーズの高いアクションを優先度高く配置しており、ストレスなく目的の情報やアクションを促すユーザーインターフェース設計となっています。直感的に目的の情報を探すことができ、繰り返し利用するユーザーにとってもストレスなく、シンプルに最短でゴールを達成することができる利用満足度の高いオウンドメディアを実現しています。Webサービス利用のために企業のオウンドメディアに来訪した際にストレスなく利用できる心地よいUXを実現しつつ、LINEやアプリを積極的に提供し、普段のコミュニケーション接点もしっかりと構築している事例といえるでしょう。
認知貢献効果向上取り組み事例2 ユニクロ
普段のスマートフォンでのアクセス接点としてインスタグラムを活用し、ユーザーは気に入った写真をクリックすると、ストレスなくECサイトへの購入ステップへ遷移する設計を行っています。
一方PCサイトにおいては、トップページはユーザーとの最初の出会いの場としてユーザーの最も関心の高いセール情報や新作情報が鮮度高く掲載されています。
日常生活におけるユーザーとのコミュニケーション接点ではスマートフォンでのインスタグラムの公式アカウントを活用し、購入動機を直接喚起するようなセールやキャンペーン情報をプッシュするのではなく、スタイル提案を中心とした情緒的な感性へ訴えるかけるコミュニケーションを行う。そして購入動機が高まったときにもスムーズにECサイトへ誘引できる設計となっています。ECサイトでは商品検討に没入できるUIで、ユーザーコメントや在庫検索、スタイルからの購入検討などを行える、非常に見やすくわかりやすい購入体験の場を提供しています。
次回は、Webサイトのブランド価値貢献度向上に向けて2つめの重要な指標である「好感効果」の向上に向けた取り組みについて述べていきたいと思います。
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