Webサイトの価値を高めるために取り組むべきWebブランディング5つのポイント(3)

  • ブランディング

前回は、「Webサイトのブランド価値貢献度」を向上させるための指標のひとつ目「認知貢献効果」をアップさせるための取り組みについて事例を交えて紹介しました。今回は、2つ目の指標である「好感効果」をアップさせるための取り組みについて事例を交えて見ていきます。

取り組みその2「好感効果」を高めるために

メリット提供からブランド共感へ転換しゆるぎない好感を獲得

まずは、トライベック・ブランド戦略研究所が行った調査「Webサイトのブランド価値貢献度」「好感効果」ランキングを見てみましょう。

20180423_01.png

1位のサントリーは豊富な「お楽しみコンテンツ」や「キャンペーン情報」を提供しているサイトですが、「キャンペーン情報」については、ユーザーのコンテンツの閲覧割合とコンテンツを良かったと感じている割合が調査対象となっている全サイト(調査対象企業はこちら)の中で最も高い結果でした。全体的に上位にはエンターテインメント系コンテンツやキャンペーンを頻繁に情報提供しているようなサイトが占める結果になっていることが、下のグラフからわかります。

各社の良かったコンテンツ

20180423_02.png

多様なコンテンツを通じてブランド体験を提供し継続的な好感へつなげる

この上位のサイトの中で着目すべきは、5位のパナソニックでした。パナソニックのサイトのキャンペーン情報は上位5社のうち最も低い結果でしたが、下のグラフを見ると、他の上位サイトに比較し、ブランドサイトや企業情報、お役立ち情報などについても、ユーザーにとって良かったコンテンツとして、好感を抱かれていることがわかります。

さらに、「閲覧されているコンテンツ」についてみてみると、パナソニックはキャンペーンのみではなく、上位他社に比べてブランドサイトや企業情報、お役立ち情報などもよく閲覧されていることがわかります。

各社の良かったコンテンツ

20180423_03.png

各社の閲覧コンテンツ

20180423_04.png

パナソニックはキャンペーン実施の頻度や数は上位他社に比べて多くはありませんが、製品およびキャンペーンをきっかけに来訪したユーザーを、キャンペーン参加目的だけに留まらせず、丁寧な導線設計によってブランドサイトやお役立ちコンテンツへ誘導し、その結果、高い好感を得ている好例といえるでしょう。

メリット提供からブランド共感へ転換しゆるぎない好感を獲得

キャンペーン情報の提供は間違いなくユーザーの好感を得るための直接的かつ即効性のあるコンテンツといえますが、一方でキャンペーンの実施はともすれば一過性の直接的なメリット訴求に陥ってしまうことも考えられます。そのため、好感を維持するためには継続的にキャンペーンを企画し実施し続けなければなりません。さらにキャンペーンによる好感獲得だけでなく、キャンペーンをきっかけとして、ユーザーにサイトの中の多様なコンテンツを閲覧してもらうことを通じてブランドを体験してもらい、好感を持ってもらうことも重要な取り組みであるといえるでしょう。

企業によっては、予算や運用上の制約からそれほど頻繁にキャンペーンを実施できないケースもありますが、パナソニックの例のようにブランドサイトやお役立ち情報など、ユーザーの多様な価値観やライフスタイルに応じた良質なコンテンツを豊富に提供することで好感効果が高まる可能性も考えられます。

20180423_05.png

好感効果向上取り組み事例1 パナソニック

製品情報を軸に、キャンペーン情報、製品を使用する際のお役立ち情報、そして製品開発に込める想いを形にしたブランディングコンテンツなど、ユーザーがストレスなく自然に情報接触できるような導線設計が丁寧に実施されている事例といえます。カテゴリごとに縦割りになるなどしてユーザー行動が寸断されることなく、全体最適の観点でも相互に回遊できるような設計を行うことで、ユーザーのさまざまなコンテンツの閲覧機会を高めています。さらに、各個別のコンテンツの企画や作りこみなども、動画をふんだんに使い印象に残る高い品質のコンテンツが豊富なため、コンテンツ閲覧後の好感度を高める要因となっていると言えるでしょう。

パナソニック Webサイト

20180423_06.jpg

好感効果向上取り組み事例2 サントリー

サントリーは非常に多くのキャンペーンコンテンツを有するサイトです。キャンペーンの実施頻度も高く継続的に行われているため、キャンペーンをきっかけとしたユーザーの好感度の獲得に成功しているといえます。単なる一過性のキャンペーン参加者の獲得だけでなく、キャンペーン参加者を会員化し囲い込むことで継続的なキャンペーンへの参加を促すことにも取り組んでいます。

LINEで「おとな」限定の公式アカウントを開設したり、Instagramを活用するなど、SNSを通してユーザーとより親密なコミュニケーションを行うためのキャンペーンも実施することで、モバイルでのコンタクトポイントを通じた好感効果の向上にも積極的に取り組んでいます。

サントリー モバイルアプリ

20180423_07.jpg

キャンペーンの中には、企業のCSR、環境へ配慮した企業の取り組みを認知してもらうためにキャンペーンを連動させるなど、製品ブランドだけでなく、コーポレートブランドに対する好感度を向上させるための工夫も見られました。

サントリー Webサイト

20180423_08.jpg

次回は、Webサイトのブランド価値貢献度向上に向けて3つめの重要な指標である「ロイヤルティ効果」の向上に向けた取り組みについて述べていきたいと思います。


関連コラム

Webサイトの価値を高めるために取り組むべきWebブランディング5つのポイント(1)

Webサイトの価値を高めるために取り組むべきWebブランディング5つのポイント(2)

Webサイトの価値を高めるために取り組むべきWebブランディング5つのポイント(4)

Webサイトの価値を高めるために取り組むべきWebブランディング5つのポイント(5)

この記事の執筆者

小林 剛

上席執行役員

この記事に関するご相談やご質問など、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

タグ一覧